纏う家

仕上げ材を、既存の上に重ねるように施した、別荘の改修プロジェクト。
改修と聞くと、解体範囲も大きく、新しく装いを変える行為が想像されますが、今回は、既存のインテリアから拾った空間の可能性を凝縮するような、解体範囲を最小限とした“書き添える”手入れを行ないました。

既存のインテリアから見出したキーワードは、小さなクラシック。光沢ある丸い模様が複製するクロスや、アーチ状の出入り口、またシンプルというよりは装飾性のある照明器具や家具が印象的でした。
一方全体的に観察すると、和室や浴室、リビングやキッチンと、それぞれの部屋は違う言語で作られているようなバラバラな状態。褐色をキーカラーに空間の帯を締めるようにして、一体的な体験に変えることを考えました。

2階リビングからは伊豆半島内陸を望む大きな窓が設けられていましたが、3方向サイズが異なる状態で、環境的な感動体験が分散していました。一連したパノラマ状の広がりとして捉えられるよう、腰下に重心を据える褐色帯をまわしています。
褐色帯というインテリアアップデートの要素は、一見表層的な作法ですが、一つ一つの部屋や環境に丁寧に向き合い、居場所の設えに呼応させるようにして、体験的な改修へ変えることを意識しました。



DATA

  • 竣工

    2023.09

  • 所在地

    静岡県伊東市

  • クライアント

    株式会社大成企業ビル

  • 用途

    保養所

  • 設計期間

    2022.03-2023.03

  • 施工期間

    2023.05-2023.09

  • 建築面積

    45.07㎡

  • 延床面積

    90.15㎡

CREDIT

  • 施工

    株式会社建築工房稗造

  • 写真

    Syuheiinoue

  • 特殊塗装レクチャー

    中村塗装工業所

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