工事途中から住み、急がず作り続ける家。
一般的な2DK賃貸マンションに、L型のスケルトン土間を挿入するように潔く解体。アトリエのような印象となった土間空間には、玄関、キッチン、リビングが内包されている。
土間は多少の水こぼれや物を落としたりすることがあっても気にならないくらい、ラフでタフ。暮らしの行為の自由度を大きく広げる余白のある家。
キッチンやお風呂がない状態から、職人と一緒に暮らすように生活をスタート。
工事途中に住み始める良さは、未完成だからこそ手を入れられる余白が大きいこと。
張り替えようと思っていた既存の襖は、ソファと相性が良かったためそのまま残すことにして、床解体で現れたボンドの黒い跡がちょっとアートみたいでかっこいいので、それに合わせてキッチンは黒い艶ありに。
解体せず既存を生かした寝室や水回りゾーンは、土間の自由度を補完するため居住性の高い空間。
そしてこの家は「賃貸」。
賃貸の面白さは、入れ替わっていく生活する人の暮らし方にによって空間の印象が更新されること。
暮らしの自由度を高める大きなスケルトン土間が、これからどのように変わっていくのか大変楽しみである。
DATA
竣工
2019.05
所在地
神奈川県横浜市
クライアント
株式会社泰有社
用途
住居(賃貸マンションリノベーション)
設計期間
2018.09-2018.12
施工期間
2019.01-2019.05
延床面積
43.59㎡
CREDIT
施工
伸栄
写真
トロロスタジオ(植村タカシ)
塗装アドバイス
中村塗装工業所